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* 電気・磁気3:電池(1799年:ボルタ)

Q28:静電気の研究に打ち込んでいたボルタは、ガルバーニの生物電気の発見(電気・磁気2話参)を賞賛し自ら追試を行う。ところが、追試を重ねるたびに、ガルバーニの生物電気発生説に疑問を感じるようになった。そして自分の舌(ベロ)とスプーンを使って電気の発生実験を行う。後のボルタ電池の発明につながるこの実験はどのようなものだったか?

 ボルタ(Antonio Anastasio Volta、伊、1745~1827年)は一瞬にして放電し利用しにくい静電気の世界から、定常的に電気を発生することのできる「電池」を発明することで、現在の電気文明を切り開いた人である。いわゆる流れる電気、「電流」というものを生み出した人と言っても良い。ボルタが18世紀末、1799年に発明した電池は、銅と亜鉛で湿った布をはさんだ構成になっている。それはまさに舌を銀とすずで挟んだ実験からヒントを得たものであった。この電池は、ナポレオンから非常に興味を持たれ、招待実験が行われる。この実験を絶賛したナポレオンはボルタに金メダルと伯爵の称号を与え生涯支援を続けた。

 ボルタは、1745年にイタリアのコモに裕福な宗教家の家庭に生まれた。発育が遅く4歳まで口がきけず、ようやく7歳で普通の子供並みに育ったと言われている。プリーストリー(Joseph Priestley、英、1733~1804年)の書いた電気の歴史という本によって、文学から科学へと興味を転換させ、その後静電気の研究に夢中になる。電気を溜めるライデン瓶の原理(1775年)を明らかにし、現在でも重要な電気部品であるコンデンサを発明(1782年)した。実はコンデンサ(電気の濃縮器の意)という名称もボルタの命名である。さらに微小な電気量を測定する「検電器」を発明(1782年)、静電気の分野で名だたる科学者として高く評価されていた。1791年にガルバーニ(Luigi Galvani、伊、1737~1798年)の「カエルの脚実験」のことを知ると、この実験の重要性をすぐに理解し、自ら再現実験を始める。ところが電気を発生させているはずの筋肉を通さず、神経だけに電極をつないでも筋肉のけいれんが見られたことから、生物が電気を発生させているのではなく原因は別にあると確信する。

ガルバーニの見つけたカエルの脚の現象が、2種類の異種金属を接触させた場合にのみ生じることに注目。もしカエルの脚が電気を発生させるなら、同種の金属でも反応は生じるはずであるが、それは生じない。さらにスイスの心理学者ズルファーの「舌の実験」(1750年、電気・磁気2話参照)のことを知った彼は、さらにその実験を詳しく追試する。ズルファーの実験を再現し、自分の舌を2種類の金属ではさみ、舌にしびれや特有の味わいを感じることを確認した。さらに額と口の中に2種類の金属を接触させてつなぐと目に光を感じることも確認。どうやら原因は「2種類の金属」にあることをつきとめるのである。このように自らの体を使って、電気を感じる実験は、大変危険なものだが、電流の検出器が無かった当時としては、いたしかたなく、キャベンディッシュが自ら感電しながら見つけたオームの法則の発見と似ている(熱・化学4話参照)。

 1792年異種の金属の接触のみで電気が生じることを確かめたボルタは、1794年に金属の電気化学的性質を詳しく調べ、次のような「系列」がある事を発見する。

	亜鉛→すず→鉛→鉄→銅→白金→金→銀→木炭、

これらの系列の離れたもの同士ほど接触によって高い電圧が発生したのである(これは、亜鉛に近い側の金属のイオン化傾向が強くマイナスの電子をためやすい為だが、この時代その理由はまだ分からなかった)。そして1799年、故郷のコモ市で開かれた展覧会で展示を行うために、ボルタはそれまでの研究をまとめ、亜鉛と銅で湿った布(塩水を浸した紙という説もある)を挟んだ「セル」を何層も直列につなげた円柱状の多層セル電池を作り、静電気のときと同様な人への電撃実験を行い、人々を驚かせた。これが人類に「継続して流れる電流」を披露した最初の実験であり、その後の電気の時代を開く大発明であった。現在使われている電圧の単位V(ボルト)はボルタの名から採られている。

宿題28: ボルタ電池の発明は、瞬く間にヨーロッパ中に伝わり、各所で再現実験が行われた。イギリスでこれに取り組んだ解剖学者のカーライル(英;1768~1840)は接点の電気的な接触を良くしようと、針金と電極板のところに水を垂らしてみた。すると不思議なことに接点近くで気泡が発生することを偶然見つける。いったいこの気泡は何だったのだろう?

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