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* 電子・IT・新技術3:ロボット(1920年:チャベック発想、1962年:エンゲルバーガー実用化)

Q67:1950年にSF作家アシモフ(米、1920~1992)はロボットが従うべきルールを、「ロボット3原則」として提唱した。一つは①「人に危害を加えてはならない、又、それを見過ごしてはならない」、②「①に反しない限り人間に服従する事」、さて最後の一つは、①と②に反しない限り何をすべきだと言ったか?

将来、本当にかしこく自律したロボットが生まれた時、こんな勝手なルールを作った人類など簡単に滅ぼしてしまうかもしれないが、この3つのルールはなかなか味わい深いものがある。 これを人に適応してみると

①「他人に危害を加えてはならない」
②「上位者に従い秩序ある社会を形成する」
③「自分や家族の身を守る権利を持つ」

という、人間社会の基本ルールが現れる。又、家電製品に適用すると

①「人に安全であること」
②「使い安いこと」
③「故障しにくいこと」

という商品としての重要ポイントが現れる。さらに最近の環境問題に適用させると

①「自然界に害を与えないこと」
②「自然の法則に逆らわないこと」
③「自然の恵みを享受してそれぞれの種をバランスよく反映させること」

と、これまた優れた行動指針が現れるのである、なかなか深みのある3原則と言えるだろう。

 ところで、ロボットの原型はからくり人形であった。オートマトン(Automaton;自動人形)とも呼ばれ、その歴史はかなり古い。古代より、人は自分を模った「人形」を作ることで、自然や神への畏敬の念を表した。又、それは子供の玩具としても愛用されていた。実際エジプト、ギリシア、中国では紀元前からすでに、動く人形が作られている。例えば、古代エジプト時代の手足が動く木製人形が発掘されているし、アレクサンドリア時代にヘロン( Hero of Alexandria、古代ローマ、紀元10年頃〜70年頃)の設計した「バッカス神殿を巡る自動人形」の構成図、などが残っている。

 本格的に機械人形が作られるようになったのは、ヨーロッパで時計技術が進化した14~15世紀頃のことであった。自動演奏装置オルゴールと融合させた、時計台のからくり時計が現れ、民衆の興味を誘った。さらに17~18世紀になるとからくり人形職人達が、貴族達に好まれる巧妙な名作を数多く生み出したのである。例えば、ヴォーカンソン(仏1709年生まれの機械技師)作の「笛吹き童子」、「太鼓を叩く少年」、「アヒル」などが1738年パリの科学アカデミーで公開され、その匠な動きに多くの人が驚嘆した。何が驚きだったかと言うと、笛吹き人形は実際に息を吹きホンモノの笛を吹き鳴らし、アヒルに至っては、水を飲み餌を食べ、フンをして(!)、羽ばたきガーガー鳴いたというから、その巧妙さには舌を巻く。しかし、この匠な技術も1760年に始まった産業革命と共に「実用的ではない」ということで見捨てられていったのである。ささやかな文化が産業革命という新文明によって消されていった例と言えるだろう。

 自動人形が廃れ、いよいよロボットの概念が現れるのが、20世紀初頭だが、これは技術からではなく文学(SF作家)から生み出された。まずロボット(roboti)という言葉を始めて使ったSF戯曲「R.U.R」が、1921年チェコの作家で園芸家のチャペック(Karel Čapek、チェコ、1890~1938年)により発表される。このSFで現れるロボットは、合成有機体による人工生体部品をつなぎ合わせて作ったバイオロイドであり、機械式のものではない。その内容は、人間が使役労働の為に作ったロボットが、ある日「心」を授けられて反乱を起こし、堕落した人類を滅ぼしてロボットの時代を作る、というストーリーになっている(ロボットR.U.R. (岩波文庫)カレル・チャペック著)。SFは20世紀半ばから後半に掛け、ロボットの概念を発展させながらその人気を深めていった。1950年アシモフ(Isaac Asimov、米、1920~1992年)の「ロボット3原則」の提言とロボット思想の普及。1951年手塚治虫(日、1928-1989)の漫画「アトム大使(鉄腕アトムの前身)」による、人間とロボットの友好的な関係に基づく未来像の提示。これらの作家が後のロボット開発に与えた影響は非常に大きいと言える。

 一方、技術の点からもロボットの要素技術は進化を続けて行った。ロボットを実現するために必要な技術は大きく次の4種と考えられる。

①	運動;関節を有する動作機構、2~多足歩走行、跳躍、飛行、泳ぎ等の移動、
②	感覚;視覚、聴覚、触覚等センサ技術、各種入力技術と認識
③	知能;情報処理、記憶、制御、思考、出力技術(発声、表現)、自律保守
④	エネルギ;エネルギ獲得・加工・蓄積・廃棄技術、(放熱、呼吸、注排水)

 これらの技術は結局「人間とは何か?」という我々の存在の本質にも関わっており、先端科学技術の融合システムでもある。最終的な理想ロボットへの道はまだ遠いと言えるが、1960年頃から産業用ロボットが現れまず工場の効率化に使われだした。そしてその世代発展が次のような流れで進んできている。「決められたプログラム通りの動き」⇒「センサによる動きの自己修正」⇒「作業内容の学習と制御」⇒「複数ロボットの協調動作」。そしてさらに、人工知能(AI;Artificial Intelligence) による「判断と自律的動作」が付与されつつあり、その進化は人類の将来を変えてゆく可能性(危険性?)をも持っていると言えるだろう。(トランジスタ技術、2015年9月号に掲載)

宿題67:1970年頃から「2足歩行」を実現するために、下半身だけの「足ロボット」を設計し、精巧なモーターや軽くて丈夫な構造材で作り安定な動作を目指したのだが、転倒や振動の多さのため失敗が続いた。そこで気づいた意外な解決策はいったい何だったろう。

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