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* 量子論・相対論2:光量子仮説(1905年:アインシュタイン)

Q63: 日焼けをするのは、太陽の熱い光線が肌にあたり、やけどを起こさせるためである、これは本当か?

光とは目に見える電波のことだが、電波は波の特性である「振動数:ν」と「振幅:a」によって特徴付けられる。振動数とは波が1秒間に振動する回数、振幅とは波の振動幅の大きさの事だが、波のエネルギーとはいったい何であろうか?通常は振幅 aの大きさの2乗(a×a)と考えられている。ところで、日焼けするほどの光はエネルギーが強いからだが、赤外線と呼ばれる振動数νの低い光はいくら強度が強くても、熱いだけで日焼けはしない。事実、ストーブにいくら手をかざしても日焼けはしない。一方、太陽光にはUVと呼ばれる振動数νの高い紫外線があり、強度(振幅)が弱くても肌に炎症(化学変化)を起こさせ、日焼けを生じる。アインシュタイン(Albert Einstein、独、1879~1955年)が不思議に思った「光電効果」とは、この日焼けの性質に似た現象であった。

 金属に光を当てると、金属の表面から空間に電子が飛び出すのだが(光電効果と呼ばれ、昔は撮像管に利用された)、振動数νの低い光をどれほど強烈に当ててもこの現象は生じない。しかしνの高い光なら微弱光(=弱いエネルギー量)であっても電子が飛び出す、つまり日焼けと同じ現象だ。強い光でも振動数が低いと生じず、弱い光でも振動数さえ高ければ生じるこの現象は一体何故起こるのだろう?アインシュタインはプランクのエネルギー量子仮説「光のエネルギー=h×ν」(第60話)に注目した。そしてプランク自身も理解できなかったこの仮説の意味を次のように解釈したのである。

「光はそれ以上分解できない粒子から成り、1粒のエネルギー量hν、運動量hν/cを持ち、空間を光速cで進む」

そしてこの光の粒を「光量子」(現在は光子photon)と呼んだ(1905年;光量子仮説)。

この「光=粒子」仮説を用いると、振動数νの高いUV光は1粒の光子が強いエネルギーを持つため、この光子1個が電子1個に吸収され、金属の外へ飛び出す(金属原子の束縛から自由になる)。しかし、νの低い赤外線は1粒あたりのエネルギーが小さく、1個の電子は同時に複数個の光子を吸収しにくいため、いくら光のエネルギー総量が大きくても、1つの電子が金属から外に飛び出すだけのエネルギーは獲得でず、金属内部にとどまることになる。このようなモデルによって見事に光電効果のメカニズムを説明できたのである。この現象は従来の「光は波だ」というモデル(描像)では全く説明できなかったのである。

 光は果たして粒子か波か?という科学上の議論は、「波説」が勝利して19世紀に終わったはずであった。実際、光の干渉現象(ヤング;第29話)や電磁波の理論(マクスウェル;第44話)で波モデルの科学的根拠も明確になったし、プランクもそんな大それたことは考えてもいなかった。しかし、それまで科学的実績の全くなかった26歳の特許庁勤めのサラリーマン(当時のアインシュタインの職業)が、とんでも無いことを言い出したのである。そして結果的にそれは正しかった。その後、このアインシュタインのモデルでないと説明できない現象が出てきたからである。それはX線(これも波長の超短い光)を原子に当てたときの散乱現象、それは「コンプトン効果」と呼ばれるのだが、散乱されたX線の振動数が、なんと散乱前の振動数に比べて、低くなっていたのである。こんなことは「波」では生じるはずが無く(波なら振動数は変わらない!)、アインシュタインの粒子モデルだと原子中の電子にぶつかった光粒子が一部のエネルギー(hΔν)を失い、ΔνだけX線の振動数が下がるという、粒子同士の衝突モデルで簡単に説明できてしまうからだ(コンプトン(Arthur Holly Compton、米、1892~1962年)が1923年に発見)。20世紀に入り、光の正体はニュートン以来再び「粒子」ということになった(ニュートンは光の粒子説を主張していた、第17話)。

 それにしてもこの粒子説、ちょっと変ではないか?「光はhνのエネルギーを持つ粒子である」という定義の中に、波動性の象徴である「振動数ν」が入っている。これはどう言うことだろう、粒子の定義の中で相反する波動性を使っているのだ!「そういうものだ」と言って、それ以上考えない事も意外と科学ではよくある。例えば、ニュートンの万有引力の法則やクーロンの法則は「力は距離の2乗に反比例する」という法則だが、その理由は不明である。「そういうものだ」という事しかできない。しかしこの光粒子説にはもう少し深い意味があり、恐るべき事実がその後の実験でわかって来たのである。

光の波動性を決定付けたかに見えた2スリットによるヤングの干渉実験、これを粒子的な観点で行った時、信じられない結果が得られたのである。つまり1粒の光子が光源から出て、2つのスリットを通り抜け測定器(もしくはフィルム)で検出される。この測定時間内では次の2個目の光子が入ってこないようなおそしく暗い状態で、長時間の積算実験をした。つまり2個の粒子がお互い干渉しないように工夫した超暗く時間の長い「ヤングの干渉計実験」である。粒子が1個づつポツリポツリと2スリットのどちらかを抜けて捕獲され、そのデータが積もり積もってゆく、アホウのような気の長い実験だが、これでアッと驚く事実が現れた。なんと「干渉パターンが記録された」のだ。つまり1個の光の粒子がそれ自体波の性質を潜在的に持っていて、1粒にも係わらず干渉効果を生じさせたのである。これにより光とは粒子でもあり波でもある二重性を有する物体と解釈されることになった。この実験が示された20世紀半ばに、ようやく人類は光をより正しく理解できるようになったのである。アインシュタインの粒子説から50年近くを要し、この混乱(粒子か波か)にようやく収拾がついたのだ。つまり「波か粒子かの」どちらか一方ではなく「波でもあり粒子でもある」という両方の性質を持つ存在物という、2重人格性が理解ができた。そしてなんとこれは光に留まらないことがひき続き暴かれて行ったのである。それは「電子の波動性」というさらに奇妙奇天烈な性質であった(第68話)。

宿題63:光という粒子の重さ(質量)はいくらか?

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