teruji-kun Hirata-Juku...天才UFO

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* 電子・IT・新技術1:ロケット(1900年:ツィオルコフスキー、1926年:ゴダード)

Q61:今あなたは真空で無重力の宇宙空間に浮かんでいる、ふと向こうから石が飛んで来た、このままだと当たりそうだが、さて、どうやって石との衝突を避けたらいいだろう?

運動量保存則を覚えているだろうか?最初、運動量がゼロである(静止している)物体が動き出すためには、質量の一部を分離させてそれに速度を与えればよい、そうすると反対方向に同じ量の運動量を得て、残りの物体も動き出す。ロケットの推進とはこの原理に基づくものである。つまり、非常に重いロケットから、燃料を爆発的に燃焼させ、燃料の持つ質量を外に投げ捨てることで、反対方向に推進してゆくのである。

 ところで、ロケットと飛行機は異なる推進方式を持っている。ロケットは上に書いたように、質量を投げ捨ててその反作用で推進してゆく乗りもので、真空中(宇宙空間)でも推進力を持ち、宇宙旅行が出来る。一方飛行機は、空気(気体)のある空間の中で、周囲の気体をプロペラもしくはジェットエンジンで後方に吹き流すことにより、推進するのである(機体の質量を捨てているわけではない)。要するに、気体の中を泳いでいるのであり、泳ぐ媒体の無い真空中で、飛行機は推進できない。

 ロケットの歴史は、意外と古い。まず中国で黒色火薬が1世紀ごろに作られると、それらが事故により、爆発・飛翔する現象を知ることになる。そして竹筒に黒色火薬を入れ矢を飛ばす武器「火矢」が、1232年に漢民族によってモンゴルとの戦争に使われた。火薬によるロケット武器の脅威を知ったモンゴル軍は、これを改良しヨーロッパ侵攻に利用、13世紀頃ヨーロッパにこの技術が伝わった。英、仏、伊などで飛行距離や命中率(方向制御)が改良され、爆弾や魚雷などが14世紀に作られるようになる。16世紀になると、多段(2段)式のロケット花火が独の花火業者により開発され、より高く飛ばせるようになった。このように最初は花火や武器としてロケット式推進技術は進化を遂げていったのである。

 宇宙への飛行を目的としたロケットの提案は、1897年にロシアのツィオルコフスキー(Konstantin Eduardovich Tsiolkovsky、露、1857~1935年)によって成された。宇宙旅行の父とも呼ばれるツィオルコフスキーの経歴は平穏なものではなかった。1857年ポーランドの革命運動家の父とロシア人の母親の間に4人兄弟の末っ子としてモスクワ郊外に生まれる。好奇心の非常に強い子供で奇妙な実験を行っては、家族を呆れさせていたようだ。9歳の時、猩紅(しょうこう)熱にかかり生死をさまよう、不幸にもこれが原因で聴力を失ってしまった。学校に行けず、読書に夢中になる。革命家の父は学問好きで多くの蔵書を持っていたのが幸いし、独力でこれらを読みあさり科学への興味が高まる。元気さを取り戻した息子を父親は喜び、16歳でモスクワへ送りだした。そこには自宅よりさらに多い蔵書のモスクワ図書館があったからだ。彼は独学でこれらの本を読み、ジュール・ベルヌ(Jules Gabriel Verne、仏、1828~1905年)のSF等に影響を受け、宇宙旅行のことを考えるようになった。

成人して実家に戻った彼は、家庭教師を行いながら中学教師の資格を得て、学校で数学を教え始める。難聴ではあったが、彼の講義は非常に好評を博したようだ(どんな苦労があっただろう)。そして中学教師をしながら、物理研究を進め、24歳の時「気体運動論」の論文をロシア物理化学協会に提出、その後も続けて論文投稿を行っていった。これらの中で彼は「真空・無重力空間で推進力を得るには自分の質量の一部を後ろに投げること」や「ロケットが質量を減らしながら進む時の速度式;ツィオルコフスキーの公式」(1897年)などを発表。多段ロケットの手法や液体燃料の有効性など、現在のロケット技術の基本原則をいち早く提案している。1917年ロシア革命後、ようやく彼の成果は高く評価され、ソ連政府の下でロケット研究を推進。1920年には多段ロケット、宇宙ステーション、ジェットエンジンの理論を完成させている。1935年78歳で死去、国葬が行われた。月の裏側には彼の名を冠したクレータがあり、世界初の人工衛星スプートニク1号は彼の生誕100周年を記念して1957年に打ち上げられた。

 一方、主として実験でロケット研究を実践的に行ったのが米のゴダード(Robert Hutchings Goddard、米、1882~1945年)であった。少年時代にH.G.ウェルズ(Herbert George Wells、英、1866~1946年)のSF「宇宙旅行」を読みロケットに興味を持つ。1915年、まず固体燃料(火薬などを固形物を利用したもの)ロケットの打ち上げ実験を行うが、思い通りにいかず、液体燃料のほうが推進効率が良いことに気づく(ツィオルコフスキーの理論を知った為との説もある)。液体ロケットは燃料の他、酸化剤、タービン、燃焼室など構造的には固体型より複雑になり技術課題も多いのだがこれを克服し、1926年世界初の液体ロケット飛行に成功。上昇高度12mに過ぎなかったが、ロケット史に大きな一歩を示した。新聞などから、誤解による中傷や批判にもさらされながらもゴダードはその後も実験を繰り返し、大型化、高高度上昇、ジャイロスコープによる飛行制御システム、パラシュートによる安全なロケット回収技術など現在に繋がる技術を開発し、214もの特許を取得した。現代、ロケット工学の父と呼ばれている。

宿題61:人類は地球から月に着陸し、その後地球に戻って来た(1969年アポロ11号)が、では逆に月からロケットを飛ばし、地球に着陸しまた月に戻ることは可能だろうか?

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