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* 道具・力学5:原子論‥アトムの概念の提唱(BC 5C頃;デモクリトス)

Q5: 科学最大の謎のひとつは、「世の中(宇宙、物質、生命など)が究極的に何で出来上がっているか?」ということだが、古代ギリシャ(紀元前600~300年頃)の哲学者たちはこれに考えを巡らせ「万物は○である。」と提言した。タレスが与えた最初の答えは何だったか?(ヒント:○には漢字1文字が入る)

 ユニークなノーベル賞物理学者ファインマンは「科学の知識を一つしか次の世代に伝えられないとしたら、『すべてのものは原子からできている』という一文を選ぶだろう。」と述べている。原子論と呼ばれるこの考えを人類が最初に見出したのは紀元前600~300年の古代ギリシャ時代であった。原子(アトム)の概念にいたるまでの、哲人たちの議論を我々も楽しんでみよう。

 まず、異才タレス(BC600年頃)である。タレスは、基本的な1つの要素(材料)から全てのものが出来上がっているという考えを出した最初の人で、その基本要素を「水」とみなした。なぜ水か?水は全ての物質に宿り、生き物は水により生命を得、水は天から降り地に流れ形を変え還流する。このような自然現象から、物の本質は水にあるのではないか?と考えたようだ。又、水を単なる物質と見るのではなく、万物に生命を与える一種の魂ともみなしていた。タレスの考えの画期的な点は、「物事の根源が一つである」という主張を初めて行ったこと、神話や占いによる説明ではなく自然現象の中に見られる原因と結果の関係(因果関係)に注目したことであって、ここに科学的な自然観の萌芽が見られる。さらに琥珀と布をこすった時に両者が引かれ合う現象から電気の存在を推定し、これにエレクトラ(ギリシャ語で琥珀の意)という名前を与えた。幾何学、天文学にも優れ、三角形の合同条件や測量技術を発見し日食の予言(計算)も行った才人である。

 タレス以降「万物の根源説」は次のような進化(退化?)を遂げる、「万物は空気である」(BC550:アナクシメネス)⇒「土である」(BC 500:クセノファネス)⇒「火である」(BC 450:ヘラクレイトス)とまあ、自分の好きな元素に変えたに過ぎず、その理由もただの屁理屈のようなもの。ところが次のエンペドクレス(BC 450)はずる賢く「水と空気と土と火の4つからなる」と言った。これは妥協案のようにも見えるが、実は大きな発想の転換を意味していた。つまり「万物の根源は一つに絞れず多(4)元素ある。」という主張であって、宗教的に言うなら神様は1人ではなく4人いるぞ、というようなもの。これは実は大きな意識革命だった。さらにエンペドクレスは続ける「4つの元素は愛の力で結合し、憎しみの力で分離する、これによって多種多様な万物が生まれる」。これは現在の原子論に非常に近い。不変なる4元素を基に、その結合の仕方で物の多様性が生じるという驚くべき(科学的)発想が生まれたのである。

 そしていよいよ古代原子論がレウキッポス(BC450)とデモクリトス(BC420年)によって生みだされる。発案はレウキッポスによってなされ、それを整備完成させたのが弟子のデモクリトスと言われている。彼らのアイディアはエンペドクレスの4元素説を基にこれをさらに発展させたもの。まず万物の根源を4つから1つに戻し、これを「アトム(原子)」と名付けた。アトムは非常に小さい同質性の物質でありそれ以上細かく分割することや生成消滅はできない。しかし形、大きさ、重さは変化しこれらの結合の仕方、並び方によって多様な一般物質が生じる。さらに原子が存在するための空間(入れもの)を想定し、これを「ケノン(空虚な空間)」とみなした。原子はケノン中でたえず運動をすることで様々な性質(色、温度)や生成消滅などの変化を生じさせると考えた。さらにこれを発展させ、「あらゆる現象は原子のケノンでの振る舞いで必然的に決定されるため、偶然性は有り得ず、人間の意志や将来すら機械的に決定されている。」という「機械的世界観」を提唱。当時の宗教家や哲学者から危険思想と見られ大きな批判を浴びた。

 この機械決定論は科学の歴史において、古典物理が完成された19世紀に再燃する。現在は量子力学やカオス理論によって、未来を完全には決定できないことが分かっているが、紀元前の時代に近代科学に近い原子論と唯物史観さらに機械決定論を提唱できたことは驚異であった。ところでこの古代原子論は、残念ながらこれ以上の進展を見せなかった。その理由の一つはこの時代では原子説にたいする実験的検証ができなかったこと、もう一つは、この時代の権威者アリストテレスがこの原子論を徹底的に批判したことによる。科学的考え方がまだ未熟な時代において、権威者の意見は絶大だったのである。

宿題5: 実はアリストテレスもエンペドクレスの4元素説を基に万物根源説を展開したのだが、なぜデモクリトスらの原子論に反対したのだろう?

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