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* 電気・磁気2:動物電気(1780年:ガルバーニ)

Q26: イタリアの医師であったガルバーニは、ある時、解剖したカエルの足に静電気を与えると足が動くことを偶然見つけた。死んでいるはずのカエルの足が電気によって生きているように動くことに興味をもった彼は、雷の日、屋外の鉄柵からつないだ真鍮の電線を接触させてみた。するとやはりカエルの足は雷に反応する。ところが驚いたことに雷が鳴っていない日もカエルの足に金属を接触させると反応することを発見した。この奇妙な現象に興奮した彼は、次に何を行っただろうか?

 セレンディピティ、偶然めぐり合わせた幸運によって発見をすること、がガルバーニ(Luigi Galvani、伊、1737~1798年)に起こった瞬間だった。科学の世界では意外と良くあることである。「運がよかっただけ」と思われるかもしれないが、「運をひきよせ、見逃さず、そこに意義を見出すこと」はやはりその人の天分、センス、そして努力の結果なのである。ぼーっとしていてはセレンディピティもめぐっては来ない。いや、巡って来ても気づかない。ガルバーニはこの現象に非常な好奇心と情熱を示し、次の真実を確認する。「接合した2種類の異なる金属をカエルの足に接触させると足が動く」、異なる金属というところがミソであり、同一の金属では生じず、又、外部電気は必要なかった。ところがここまで確かめた後、ガルバーニはとんでもない解釈をしてしまう。これは動物が電気を発生させた「電気うなぎ」のような現象であり、それによって足が動いたのだろう。そう考えてこれを「動物電気」と呼ぶことにした。ガルバーニ43歳の時の大チョンボであった。

 ガルバーニは1737年イタリアのボローニャに生まれる。ボローニャ大で医学を学び母校の大学教授になる。生理学や解剖学を専攻した彼は、カエルの筋肉収縮や神経の研究を行いながら、当時興味を持たれていた生体への電気刺激に関心を持つようになる。当時、使える「電源」は静電気の蓄電器(ライデンびん)のみであった。この時代人類はまだ自由に電気を利用する技術も知識も有していなかったのである。しかし静電気による刺激(感電)は人々に驚きを与えており、それにより病気の治療に役立つのでは無いかと興味も持たれていた。ガルバーニもこの生体への電気刺激に興味を持ち、自分の得意な領域であるカエルの足にまず(静)電気刺激を与える実験を試みた。ここに見るように、新しい発見や創造というのは、自信のある分野や技術を自分のベースとして持っておくことが重要であり、その領域に新たな現象を持ち込んでみる事が始まりになる。そこには好奇心と勇気が必要であるが、そのような勇気に対して偶然というプレゼントが与えられたのである。

 ガルバーニは、つないだ異種の金属をカエルの筋肉に接触させると筋肉が痙攣することを確認し、これを誤ってカエルの筋肉にあった電気が放出されたからだ、と生物内電気説を主張したのである。不思議なのは、それなら同種の金属でもカエルは痙攣するはずではないか?と思うのだが、なぜかそうは考えなかった。どうやら当時シビレエイや電気ウナギなど、生物内発生電気に対して非常に興味を持たれていたため、そのような現象と同様のものではないか?という考えに引かれてしまったのだろう。金属接触が同種であろうが、異種であろうが、まさかそんなことが重要であるとは当時想像すらできなかった。事実はしっかりおさえておきながら、解釈で誤ったガルバーニの報告は、しかし当時のヨーロッパの学会で多大な反響を呼ぶことになり、電気の歴史そして我々の生活に大きな1歩を示すのである。

 ガルバーニ以前に、このような電気現象を見つけた人がいないか?というと実は、スイス人のSulzerという心理学者が1750年あたりに奇妙な実験(体験)をしている。彼は銀と鉛の金属(おそらくスプーンだろう)を接触させて、これらで舌を鋏んだところ、「舌に奇妙な刺激と味を感じた。」というものである。ガルバーニがこの実験にどれほど注目していたかは不明だが、少なくともガルバーニの実験に非常に興味を持ち、その解釈に疑問を持ったボルタ(Conte Alessandro Giuseppe Antonio Anastasio Volta、伊、1745~1827年)はこのSulzerの実験を重視し、舌でも似たような現象が生じていることから「動物電気説」を否定する。そして異種金属に発電の原因を見出し、ボルタ電池を発明することになるのである。又、この他にもイラクの首都バグダッド近郊で発見されたBC200年あたり古代ギリシア時代の遺産である「バグダッド電池」と呼ばれている不思議な壷(土製で高さ15cm、直径9cm)がある。この内部には、周りに銅製の筒が中心には鉄製の棒が固定されてあり、ぶどう酒などを入れることで電気が発生(1.5~2.0V)したと想像されている。もしそれが本当なら、人類はなんと2000年以上も前に電気を発生させ、利用(何に?)していたということになる。その場合ガルバーニの(再)発見まで空白期間が2000年も続いたことになってしまうが、さて真実はどうだったのだろう?(トランジスタ技術、2014年8月号に掲載)

宿題26: ガルバーニが解釈を間違えるきっかけとなった電気うなぎだが、このような発電能力をもった生物はいったいどうやって、電気を発生させているのだろうか?又どうして彼ら自身は感電しないのだろうか?

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