teruji-kun TENSAI-UFO...天才UFO vr2.0

HOME | 道具・力学 | 熱・化学 | 電気・磁気 | 量子・相対論 | 電子・IT・新技術

* 道具・力学2:言語の発明(~7万年前、文字はBC3000年あたり)

Q2:人類が「言語」を発明できた大きな理由は、他の動物が行わないある行動を行い始めた為と考えられているが、それは何か?

 今から7万年ほど前に言葉が発明されたと言われている(ホモ・サピエンスが生まれたのが20万年ほど前なので言葉の発明に10万年以上かかったのだ!)。しかし最初は文字ではなく音声であったため、証拠が残ってなくはっきりした時期は分かっていない。言葉の発明によって人間は生活や文化を大きく進化させ生物界の頂点に立つことができた。他の動物が使えない複雑な言語を人間だけが使えるようになった理由は、「多様な発音」ができる生体的構造が発生したためと考えられている。もちろん、音の発生の他に、「音を区別して聞くことのできる聴覚」が必要だし、さらにその音に対し「意味を認識できる脳」の進化が必要である。幸い人間はこの3つの機能をタイミングよく進化させることができた。

 さて、言語の起源となる、発音機能の発生だが、まず四つ這い状態では実に話しにくいことを理解しておこう。実際、四つ這い状態で話をしてみると、とても発声しにくいことが分かる。これは重力により音声発音が大きく制限されてしまうからである。人類は進化により直立歩行を始めた。これによって、声帯が喉の下方に移動し、喉や鼻の後方部に広い空間が発生することで多様な音を発生できるようになったのである。四足歩行種は声帯が喉の上方にあり、鼻腔空間も狭いため多様な音声の発生がとても難しい。一方、人間は舌の筋肉を発達させ、唇が自在に使えるように下あごを引いた骨格に進化した。これらが複雑な言語の発音を可能にしたのである。

 人間の赤ちゃんは人間の進化を短い時間で全てたどりながら成長すると言われている。実際生まれたばかりの赤ちゃんは声帯の上の空間が狭く、類人猿と似ているらしい。ところが1才を過ぎるころから立ち歩きを始め、声帯の位置が下がり、ようやく言葉をしゃべり始める。つまり生まれたばかりの赤ちゃんが言葉をしゃべることは体型的にも困難なのである。釈迦は生まれたとたんに、天地を指差し「天上天下唯我独尊」と言ったという伝説があるが、これはどうやら真実ではなさそうだ。

 現在世界で使われている言語の数は6000種類ほどあるといわれている。それにしてもなぜこれほど言語の数は多いのだろう。火のつけ方が、全世界でほぼ同じ手法で発明され、同じように進化していったのに比べ、言語のバラエティーの広さは尋常ではない。言語の多様性と似ているものに、生物種の多様性がある。しかもおもしろいことに、言語分布と生物種の分布は似ているのである。赤道近くで、両者の数は非常に多く、赤道から離れるにつれて、少なくなる。言語の多様性の理由は生物種の進化による多様性にその理由を見出せるかもしれない。種の起源によると種の発生は「突然変異」と「環境選択」によって進化してできあがったものとされている。だとすれば、言語もある原始言語から、突然変異と環境選択によって進化したと類推することができそうだ。自然音や民族特有のリズム感や音によって発生したであろう原始言語は、新たな音声の発見や言い間違い、近隣民族の言葉の影響などにより「突然変異」を起こす。その後その変化が利用されながら「環境選択」が生じ適者が生き残る。そうすると、原始言語は同じでも、長い時間の経過と供に、多種多様なローカル言語が生まれる可能性があるだろう。さらに言語にはそれを統一させようとする「力」より、変化や差異を重んじる価値観が強く働き、多様性を進化させたと思われる。

 多様な言語が生じたとき、それを統一する求心力が働かない理由はなぜだろう。たとえば方言だが、これほどマスメディアが発達し「標準語」が流布された現在においても、方言は力強く生き残っている。確かに使われなくなる古い方言もあるが、依然、大阪弁と東京弁は全く異なるし、融合する気配すらない。さらに若い人たちに使われ、年配者から疎ましがられる新語や流行語も常に現れている。多くの技術が統一化や標準化の方向を示すのに対して、言語や生物種は多様化を特徴とする。この差は大変興味深い謎である。

宿題2:チンパンジーに言語を教える実験がなされたことがある、果たして結果は?

*NEXT

次は何を読もうか↓(下の目次か右側のリンクより選んで下さい)

リンク1

外部リンク